事業概要

MfCPとは

 心が大きく成長変化する時期にある子どもたちは、悩みや葛藤も深くなりがちです。日本では,子どもたちの自殺率の高さや自己肯定感の低さが指摘されています。外的な事象に応じてその都度変動する幸福感ではなく、その存在の根底を支える持続的な幸福感のことをウェルビーイングといいます。WHOは憲章の中で健康について次のように定義しています。「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも,そして社会的にも、すべてが満たされた状態(ウェルビーイング)にあることです」。先が見通せず加速化する社会の中で、子どもたちは常に評価や競争に晒され、社会や大人によって望ましい形に切り取られた自己を生きることを強いられがちです。思春期には自己肯定感は最も低くなり、自分に対しても他者に対しても、厳しい見方をしがちとなります。特に諸外国に比べ、日本の子どもたちの自己肯定感や幸福感の低さ、子どもの自殺の多さも指摘されています。

 マインドフルネスは自分自身のさまざまな感覚や感情を優しくあるがままに受け入れ、ゆるすことを目指します。そして、日常に体験する困難な感情、手放したい感情をそっと手放したり、とらわれずにそのまま浮かべて眺めたりする方法を身に着けます。身体感覚をアンカーとして、未来や過去へとさまよいがちな心を今この瞬間の体験につなぎとめ、奇跡と驚きに満ちた今この瞬間の体験を静かに豊かに味わうことへと導くのです。

  MfCPは、子ども達や学校にマインドフルネスを届けることを目指しています。学校で子どもたちにマインドフルネスを届けることができれば、ウェルビーイングの感覚を自身のうちに育み、子どもたちの抱える心の荷物を少し軽くし、そのエネルギーをより生き生きとした方向へと解き放つことができるかもしれません。学校環境が安心で安全で、マインドフルな空気に満ちていれば、子どもたちは自己の護りにエネルギーを使う必要がなくなり、自然に伸びやかに成長や自己実現に向かってゆくのではないでしょうか。

MfCPの歴史

MfCPは、英国MiSP(Mindfulness in schools project)のトレーニングを受け、資料を日本語で準備しプログラムを開始したMBSR研究会の活動に端を発します。2019年には、MiSPより日本での指導者トレーニングの提案があったのですが、まずその有用性を評価することが重要と考え、滋賀大教育学部と連携し、ドットビー・プロジェクトが立ち上がりました。ドットビー・プロジェクトでは、オックスフォード大学のウィレム・カイケン教授の助言のもと、滋賀大が文科省等より研究費を得て、まず翻訳資料の充実を図りました。そして、MiSPの日本担当指導者、クレア・ケリー、ベン・チャルウィンの支援を受け、2021年夏には日本各地から応募して下さった38名の教育関係者に対して指導者養成講座を開催し、このうち20名の方がドットビー・プロジェクト参加し、2022年には数百人規模の中高生を対象とした研究が進行中です。ドットビーティーチャー、実施フィールドについては、こちらをご覧ください。 (ティーチャーズ・マップ実施フィールド・マップ
指導者養成プログラムも継続して実施する予定です。

 さらに私たちはドットビー・ティーチャーのつながりを保ち、体験や知見を共有するために継続サポート・システムを構築しています。ドットビー・ティーチャー会員が集うWeb上のプラットフォームを作成し、そこで疑問点を講師陣に相談したり、会員同士が自由にやりとりしたり、情報共有したりできるようにしています。また月に一度自由参加形式のWeb質問会を実施し、現状報告や情報共有を行っています。